最高裁判所第一小法廷 昭和45(オ)556 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人中矢近太郎、同今井源良の上告理由一、二について。
民法五六五条にいういわゆる数量指示売買とは、当事者において目的物の実際に
有する数量を確保するため、その一定の面積、容積、重量、員数または尺度あるこ
とを売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた
売買を指称するものであるとするのが当裁判所の判例である(昭和四一年(オ)第
七七〇号、同四三年八月二〇日第三小法廷判決、民集二二巻八号一六九二頁)。
ところで、原審は、第一審原告は第一審被告および選定者から、その共有の松山
市ab番地の二の宅地をその地上にある建物二階建延坪一五七坪五合三勺および同
地上、建物内にある旅館設備、什器、造作等一切と共に買い受けたが、同人におい
て引続き右建物で温泉旅館を経営する前提のもとに取引が行なわれたもので、現に
「湯の香」なる名称で一年あまり旅館業を営んでいたこと、その売買にあたり第一
審被告は、宅地の面積は公簿上は一一八坪三合三勺となつているが実際の面積は一
一三坪八合で、少なくとも一一三坪あることは間違いないと確言したので、第一審
原告はこれを信じたこと、しかし売買代金に関しては宅地のみの価額は別に定めず、
前記の一切のものを含んで金二、八〇〇万円と合意したこと、右一一三坪という坪
数は一応の目安であるにとどまり、右代金は、現に温泉旅館「湯の香」の敷地とな
つている土地、地上建物、その他旅館設備一切に着目して決定されたものであるこ
とを確定しているのである。この原判決の認定は挙示する証拠関係に徴し首肯する
ことができる。そうすると、冒頭の説示に照らすに、本件売買はいまだいわゆる数
量指示売買にあたるものとはいえない旨の原審の判断は、正当として是認すること
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ができ、原判決に所論の違法は認められない。したがつて、論旨は採用することが
できない。
同三について。
所論は、第一審判決の違法をいうにすぎず、上告適法の理由とするに足りない。
したがつて、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 岩 田 誠
裁判官 大 隅 健 一 郎
裁判官 藤 林 益 三
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